合同式

1.合同式

合同式(余りの世界)

\( a,b \) を \( m \) で割った時の余りが等しい時、\( a \) は \( m \) を法として、\( b \) と合同という。

この時、

\( a \equiv b \quad \pmod{m} \)

と書く。

具体的

実際に\( 3 \)を法として具体的に考える。

■ 余り \( 0 \) (割り切れる)

\(30を3\)で割ると、余りが\(0\)になるので

\( 30 \equiv 0 \quad \pmod{3} \)

同じように、18も

\( 18 \equiv 0 \quad \pmod{3} \)

なので、

\( 30 \equiv 18 \equiv 0 \quad \pmod{3} \)

 

■ 余り \( 1 \)

\( 28 \equiv 19 \equiv 1 \quad \pmod{3} \)

 

■ 余り \( 2 \)

\( 20 \equiv 5 \equiv 2 \quad \pmod{3} \)

 

■ 余り \( 3 \)

余りは3は3で割り切れる。

つまり、

\( 3 \equiv 0 \quad \pmod{3} \)

となる。

 

合同式の性質をまとめると下記のようになる。

合同式の性質

① \( a \equiv b \quad \pmod{m} \) について

 - 整数倍 (整数 \( c \))

  \( ca \equiv cb \quad \pmod{m} \)

 - 和・差

  \( a+b \equiv 2a \equiv 2b \quad \pmod{m} \)

  \( a-b \equiv 0 \)

 - \( b \equiv c \quad \pmod{m} \)

  \( a \equiv c \quad \pmod{m} \)

 

② \( a \equiv b,\quad c \equiv d \quad \pmod{m} \) について

 - 和

  \( a+c \equiv b+d \equiv a+d \equiv b+c \quad \pmod{m} \)

 - 差

  \( a-c \equiv b-d \equiv a-d \equiv b-c \quad \pmod{m} \)

 - 積

  \( ac \equiv bd \quad \pmod{m} \)

 - 累乗

  \( a^k \equiv b^k \quad \pmod{m} \quad (k \in \mathbb{N}) \)

 

③ \( ca \equiv cb \quad \pmod{m} \) について

 - \( cとm \) の最大公約数を\( G \) の時

  \( a \equiv b \quad \pmod{\frac{m}{G}} \)

 - \( cとm \) が互いに素 (\( G=1 \)) の時

  \( a \equiv b \quad \pmod{m} \)

例). \( 4a \equiv 4b \quad \pmod{6} \) の時

  \( a \equiv b \quad \pmod{3} \) (4と6の最大公約数は2)

 

2.累乗の余り (定数 c)

例題1

(1). \( 17 を 3\) で割った余りを求めよ。

(2). \( 17^2 を 3 \) で割った余りを求めよ。

(3). \( 17^3 を 3 \) で割った余りを求めよ。

(4). \( 17^5 を 3 \) で割った余りを求めよ。

(5). \( 17^{100} を 3 \) で割った余りを求めよ。

例1). \( 17 \equiv 2 \quad \pmod{3} \)

例2). \( 17^2 \equiv 2^2 \equiv 4 \equiv 1 \quad \pmod{3} \)

例3). \( 17^3 = 17 \cdot 17^2 \equiv 2 \cdot 1 \equiv 2 \quad \pmod{3} \)

例4). \( 17^5 = (17^2)^2 \cdot 17 \equiv 1^2 \cdot 2 \equiv 2 \quad \pmod{3} \)

例5). \( 17^{100} = (17^2)^{50} \equiv 1^{50} \equiv 1 \quad \pmod{3} \)

 

例題1

(1). \( 8^{10} + 4^{10} を 3\) で割った余りを求めよ。

(2). \( 4^{10} – 2^{10} を 3 \) で割った余りを求めよ。

例1). \( 8^{10} + 4^{10} = 2^{30} + 4^{10} = 4^{15} + 4^{10} \)

  \( 4 \equiv 1 \quad \pmod{3} \)

  なので、

\begin{eqnarray}
4^{15} + 4^{10} & \equiv & 1^{15} + 1^{10} \quad \pmod{3} \\
& \equiv & 2
\end{eqnarray}

 

例2). \( 4^{10} – 2^{10} = (4^5 – 2^5)(4^5 + 2^5) = (4^5 – 2^5)(4^5 + 2^5) \)

  ・ \( 4 \equiv 1 \)

  ・ \( 2^5 = 4^2 \cdot 2 \equiv 2 \quad \pmod{3} \)

  よって、

  \( 4^5 + 2^5 \equiv 1 + 2 \equiv 3 \equiv 0 \pmod{3} \)

  となるので、

  与式を3で割ると余りは0

 

~ 補足説明 ~

 つまり、

 \( 4^5 + 2^5 \) は3の倍数なので、その積である

 \( (4^5 – 2^5)(4^5 + 2^5) \) も3の倍数という事である。

 そりゃ3の倍数は3で割り切れますよね。

 

3.累乗の余り (自然数 n)

例題1

\(n \) は自然数とする。

(1). \( n を 4 \) で割った余りを求めよ。

(2). \( n^2 を 4 \) で割った余りを求めよ。

(3). \( n^3 を 4 \) で割った余りを求めよ。

(4). \( n^4 – n^2 を 4 \) で割った余りを求めよ。

(5). \( n^{50} を 4 \) で割った余りを求めよ。

例1). \( 0,1,2,3 \) の4つ。

例2). \( 4 \) を法として、余りの表を作成すると、

\( n \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 2 \)  \( 3 \) 
\( n^2 \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 1 \) 

 よって、\( n^2 を 4 \) で割った余りは \( 0と1\)。

 

例3). \( 4 \) を法として、余りの表を作成すると、

\( n \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 2 \)  \( 3 \) 
\( n^2 \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 1 \) 
\( n \cdot n^2 \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 3 \) 

 よって、\( n^3 を 4 \) で割った余りは \( 0と1と3\)。

 

例4解法1). \( n^4 – n^2 = n^2 (n^2-1) \)

  4を法として、余りの表を作成すると

\( n \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 2 \)  \( 3 \) 
\( n^2 \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 1 \) 
\( n^2-1 \)  \( 3 \)  \( 0 \)  \( 3 \)  \( 0 \) 
\( n^2(n^2-1) \)  \( 0 \)  \( 0 \)  \( 0 \)  \( 0 \) 

 よって、\( n^4 – n^2 を 4 \) で割った余りは \( 0 \)。

 

例4解法2). \( n^4 – n^2 \)

  4を法として、余りの表を作成すると

\( n \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 2 \)  \( 3 \) 
\( n^2 \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 1 \) 
\( n^2 \cdot n^2 = n^4 \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 1 \) 
\( n^4 – n^2 \)  \( 0 \)  \( 0 \)  \( 0 \)  \( 0 \) 

 よって、\( n^4 – n^2 を 4 \) で割った余りは \( 0 \)。

 

例4解法3). \( n^4 – n^2 = n^2 (n^2-1) = (n-1)n \cdot n(n+1) \)

  連続する2整数はどちらかが、2の倍数となる。

  ① \( n-1 \) が2の倍数である場合

   \( n+1 \) も2の倍数となるので、

   \( n^4 – n^2 \) は4の倍数となる。

  ② \( n \) が 2の倍数である場合

   \( n^2 \) は4の倍数であるので、

   \( n^4 – n^2 \) は4の倍数となる。

  よって、①②より\( n^4 – n^2 )を4で割った余りは0となる。

 

(5). \( n^{50} = (n^2)^{25} \)

  4を法として、余りの表を作成すると

\( n \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 2 \)  \( 3 \) 
\( n^2 \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 1 \) 
\( (n^2)^{25} \)  \( 0 \)  \( 1 \)  \( 0 \)  \( 1 \) 

 よって、\( n^{50} \) を4で割ると余りは \( 0か1 \)。

おすすめ